ストレスで眠れない方へ|臨床心理士が教える心を整えるセルフケア【薩摩川内市 上小鶴外科胃腸科】
「疲れているのに眠れない」「ベッドに入ると、仕事や人間関係のことを思い出してしまう」
そんな夜が続いていませんか?
ストレスは心だけでなく、体のリズムや睡眠にも大きく影響します。
眠れない状態が続くと、さらに心身の不調を感じやすくなり、悪循環に陥ってしまうこともあります。
この記事では、当院の臨床心理士が、
ストレスで眠れない方に向けて 今日からできる心のセルフケア をご紹介します。
ご自身のペースでできる方法ばかりですので、
「眠れない夜が少しでもやわらぐきっかけ」となれば幸いです。
ストレスで眠れなくなるのはなぜ?
私たちが眠るためには、心と体が「リラックスした状態」になっていることが大切です。
しかし、ストレスを感じると、体の中で「自律神経」のうちの交感神経が優位になり、
心も体も“戦闘モード”のような状態になります。
この交感神経は、本来「朝起きて活動するため」に働く神経ですが、
ストレスが続くと夜になっても興奮状態が続き、
寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしてしまいます。
さらに、ストレスによってホルモンのバランスも乱れやすく、
眠りを誘うホルモン「メラトニン」や、リラックスに関わる「セロトニン」の分泌がうまくいかなくなることもあります。
つまり、ストレスによる不眠は「心の問題」だけではなく、
自律神経やホルモンなど体のしくみとも深く関係しているのです。
今日からできる!心を整えるセルフケア
① 呼吸を整える:ゆっくり吐くことを意識する
ストレスを感じると呼吸が浅くなり、体が緊張しやすくなります。
まずは「吸う」よりも「吐く」ことを意識してみましょう。
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鼻から軽く息を吸う(3秒)
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口をすぼめてゆっくり吐く(6秒〜8秒)
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これを3〜5回くり返す
深く息を吐くことで副交感神経が働き、体がリラックスモードに切り替わります。
寝る前や気持ちが高ぶったときにおすすめです。
② 頭の中を整理する:「書き出す」セルフケア
考えごとが頭の中をぐるぐる回って眠れないとき、
脳の中では「ワーキングメモリ(作業記憶)」が過剰に働いています。
この状態では、脳が常に情報を処理し続けており、
休むためのモード(副交感神経優位)に切り替えにくくなってしまいます。
そんなときに有効なのが、「紙に書き出す」という行為ですなのです。
ノートに「今日あったこと」「気になっていること」「明日やること」などを視覚化することで、
脳が「この情報はもう外に出した」と認識し、
処理を続ける必要がなくなります。
つまり、頭の中で繰り返し考えてしまう“思考のループ”を断ち切る効果があるのです。
心理学では、これを「筆記開示」と呼び、
アメリカの心理学者ジェームズ・ペネベーカーらの研究により、
ストレス・不安・睡眠の質に良い影響を与えることが確認されています。
さらに、手を動かして書く行為そのものが、
脳の「前頭前野」を穏やかに刺激し、感情の整理や客観視を促します。
書き終わったあとにノートを閉じることで、
「今は休む時間」という切り替えのサインにもなります。
つまり、書くことは単なるメモではなく、
脳に“もう大丈夫”と伝える心理的リセットの行為なのです。
③ 環境を整える:眠れる空間づくり
睡眠環境も、心の落ち着きに大きく関わります。
寝室の照明はあたたかみのあるオレンジ系に
蛍光灯やスマートフォンの画面など、白く明るい光(ブルーライト)は、脳を覚醒させるホルモン「メラトニン」の分泌を抑えてしまいます。
光の色を変えるだけでも、脳が「夜モード」に切り替わりやすくなります。
スマホやテレビは寝る30分前にはオフ
波の音や雨音、穏やかな音楽などの一定リズムの環境音を流すのも効果的です。
余分な思考を静め、リラックスを促す働きがあります。
心地よい音楽やアロマを取り入れる
香りは脳の「扁桃体(感情中枢)」や「視床下部(自律神経の司令塔)」に直接働きかけます。
ラベンダーやベルガモットなどのアロマは、心拍数をゆるめ、自然と眠気を誘う効果が報告されています。
こうした「小さな工夫」を積み重ねることで、
脳が「ここは安心して休める場所」と認識しやすくなります。
④ 体をゆるめる:やさしいストレッチや筋弛緩法
緊張が続くと、体も固くなり眠りにくくなります。
寝る前に軽く体を伸ばしたり、
肩・首・背中などをゆっくり回してみましょう。
また、「力を入れてから抜く」だけでもリラックス効果があります。
たとえば両手をぎゅっと握って、5秒後にふっと力を抜く。
この筋弛緩法は、心身の緊張を和らげるのにとても効果的です。
⑤ スマホとの付き合い方を見直す
寝る前のスマホ使用は、脳を刺激して眠りを妨げる原因になります。
「SNSやニュースを見ていたら、いつの間にか1時間経っていた」という経験はありませんか?
眠る前の1時間は、できるだけ画面を見ない時間にしましょう。
どうしても触りたいときは、明るさを落とし、“心を休ませる”目的のコンテンツ(音楽・瞑想アプリなど)に限定するのがおすすめです。
心理カウンセリングでできるサポート
セルフケアを続けても、なかなか眠れない夜が続く場合、
それは「心が疲れすぎているサイン」かもしれません。
そんなときは、一人で抱え込まず、専門家に話してみることをおすすめします。
カウンセリングは「気持ちの整理を手伝う場所」
心理カウンセリングでは、眠れない原因を「ストレスそのもの」ではなく、
その背景にある考え方や感情のパターンから一緒に整理していきます。
「何に悩んでいるのか分からない」
「ずっと頭の中で同じことを考えてしまう」
そんな状態でも大丈夫です。
臨床心理士が対話を通して、気持ちを言葉にし、
少しずつ“心の渋滞”をほどいていきます。
話すことによって脳の「前頭前野」が活性化し、
感情を客観的に整理しやすくなることも研究で分かっています。
つまり、話すことそのものが脳の整理法なのです。
考え方のクセを見直す
私たちは誰しも、出来事を「どう受け取るか」という考え方のパターン(認知のクセ)を持っています。
このパターンが偏っていると、実際以上にストレスを感じたり、不安で頭がいっぱいになってしまうことがあります。
たとえば、次のようなクセが知られています:
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「完璧にしなければ」思考:少しのミスも許せず、自分を強く責めてしまう
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「極端な白黒思考」:うまくいくか、失敗かのどちらかで考えてしまう
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「先読み不安」:起こっていない未来を悪い方向に想像してしまう
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「他人基準」:人の目や評価を気にしすぎて、自分の気持ちを後回しにする
こうした思考パターンは、無意識のうちにストレス反応を強め、脳を「常に緊張モード」にしてしまいます。
結果として、夜になっても頭が休めず、眠れないという状態につながるのです。
カウンセリングでは、こうした考え方を「否定する」のではなく、
「そう考えるのは自然なこと」と受け止めたうえで、
もう少し柔らかい見方を一緒に探していきます。
当院でのサポートについて
当院では、臨床心理士による心理カウンセリング外来を行っています。
ストレスや不眠、気分の落ち込み、人間関係の悩みなど、
どんな小さなことでもご相談ください。
お話を無理に引き出したり、アドバイスを押しつけたりすることはありません。
安心して「今の気持ち」を言葉にできるよう、
静かな環境でゆっくりお話を伺います。
まとめ
眠れない夜は、体だけでなく心も疲れているサインです。
セルフケアと合わせて、心理的なサポートを受けることで、
少しずつ「自分のリズム」を取り戻すことができます。
もし「一人で頑張り続けている」と感じるときは、
どうぞ気軽にご相談ください。
