1日5,000歩じゃ足りない?散歩の効果を最新の研究と共に紹介します!
はじめに:漠然と散歩をしていませんか?
「10分歩こう」「20分歩こう」「今日はあの公園まで行こう」——
どのような形であっても、体を動かすこと自体はとても素晴らしいことです。
日々の散歩を習慣にしている方は、それだけでご自身の健康づくりに大きく貢献しています。
ただ、せっかくの散歩を、より効果的に、より「体力維持」や「健康増進」に役立てられたら、もっと良いと思いませんか?
今回は、毎日の散歩がさらに価値あるものになるように、「歩数」に注目した最新の研究をご紹介します。
ぜひ最後まで読んで、明日からの散歩にお役立てください。
当院から見える可愛山陵。天気がいいとリハビリ室からきれいに見えます😃
1日5,000歩では足りない?
👀 面白い研究があったのでご紹介します
調査の内容
この研究では、バンコク市内に住む60歳以上の元気な高齢者255人が対象になりました。
過去1年間に転倒していない方だけが参加しています。
調査では、次のような方法でデータを集めました:
-
歩数の記録:5日間、毎日の歩数を測定
-
活動量のアンケート:ふだんの生活でどれくらい体を動かしているかを、質問に答えてもらって評価
-
転倒の記録:半年間、毎月カレンダーに転んだかどうかを記録してもらう
-
体の動きやすさの検査:イスから立って歩き、戻ってくるまでの時間などを測定
結果と注目ポイント
調査期間の6か月間で、33人(約13%)が初めての転倒を経験しました。
そして、転倒しやすかった人たちにはいくつかの共通点が見つかりました。
特にリスクが高かったのは、次のような方です:
-
1日5,000歩未満しか歩いていない人:転倒のリスクが約3.6倍
-
日常生活であまり体を動かしていない人:リスクが約3.5倍
-
少し強めの運動(早歩きなど)を週に1時間もしていない人:リスクが約3.7倍
-
歩いたり立ったりする動作がゆっくりな人:リスクが約6.4倍
-
尿もれがある人、多くの薬を飲んでいる人、精神のお薬を使っている人も、リスクが高めでした
この研究からわかること
この研究の結論はとてもシンプルです。
「1日5,000歩以上を目指すことが、転倒の予防につながる」ということです[1]。
特に、まだ転倒したことがない比較的元気な高齢者にとっては、「毎日5,000歩を目標にすること」が、転倒のリスクを下げる一つの指標になるといえるでしょう。
ちなみに、厚生労働省が掲げている歩数の目標値は、65歳以上の方で男性6,000歩・女性6,000歩です(令和14年度目標)。
現状では令和元年度の平均歩数が男性5,396歩・女性4,656歩とやや不足しているため、健康づくりの観点からも日常的に意識して歩数を増やすことが推奨されています[2]。
もちろん、健康状態や体力には個人差があります。無理をする必要はありませんが、
「なんとなく歩いている」から「目的を持って歩く」へ、ちょっと意識を変えるだけで、散歩の効果は大きく変わってきます。
次の章では、散歩が体にどんな良い効果をもたらすのか、もう少し具体的にご紹介していきます。
散歩の効果とは?体力・心肺機能・メンタルヘルスへの影響
🦵1. 体力・筋力の維持に効果的
年齢とともに低下しがちな筋力や持久力は、日々の散歩でもしっかり鍛えられます。
特に脚の筋肉(太ももやふくらはぎ)や体幹の安定性を保つことができるため、転倒予防にもつながります。
また、「歩く」という全身運動はエネルギー消費も多く、代謝を上げたり、生活習慣病の予防にも役立ちます。
体を動かす機会が少ないと、筋力低下が早まりやすいため、散歩は“日常に取り入れやすいリハビリ”としても非常に有効です。
❤️ 2. 心肺機能の改善
散歩は有酸素運動のひとつで、心臓や肺の機能を高める効果もあります。
特に少し息が上がるくらいの早歩きを取り入れることで、血流が良くなり、心臓のポンプ機能が活発になります。
これにより、疲れにくい体・動きやすい体が作られていきます。高血圧や動脈硬化など、心臓や血管に関わる病気の予防にも良い影響があります。
🧠 3. メンタルヘルスにも良い影響
意外と見落とされがちですが、散歩は心の健康にも効果的です。
日光を浴びて歩くことで、セロトニンという“気分を安定させる物質”の分泌が促進されるため、
気持ちが前向きになり、ストレスや不安感の軽減につながります。
また、外の景色を眺めたり、風や季節の変化を感じることが、気分転換やリフレッシュ効果にもつながります。
当院リハビリでの散歩指導の取り組み紹介
当院のリハビリでは、「1日5,000歩が健康維持の目安」としながらも、患者さま一人ひとりの体の状態に合わせた散歩指導を大切にしています。
長時間の座位や、作業などが続くと腰痛の原因に😃
膝や腰に痛みがある場合は無理をしない
膝や腰に痛みがある方が無理に歩くと、かえって症状が悪化することがあります。
そのため、まずは痛みが出ない範囲での歩行距離を確認することが重要です。
痛みを感じない範囲を見極めて、少しずつ歩く距離や時間を増やしていくよう指導しています。
歩行のフォームを指導しています😃
歩くフォームや姿勢の見直しも重視
痛みの原因の一つに、歩き方や姿勢の乱れがあります。
当院では、歩行フォームや姿勢を丁寧にチェックし、改善のアドバイスを行っています。
正しい歩き方を身につけることで、痛みの軽減やケガの予防、効率的な体力づくりにつながります。
症状によっては装具の提案なども行います😃
必要に応じてサポーターやコルセットの提案も
歩行時の負担軽減や痛みの緩和を目的に、サポーターやコルセットなどの装具を適切にご提案することもあります。
これにより、安心して歩くことができ、無理なく散歩を続けやすくなります。
座って行えるバイクもあります😃
歩行以外でも体力をつける方法を紹介
膝や腰の痛みが強い場合は、無理に歩数を増やすのではなく、筋力トレーニングやストレッチ、バランス訓練など、歩行以外の方法で体力をつけることも提案しています。
散歩で体力維持を目指そう
今回ご紹介したように、1日5,000歩以上を目安に、無理なく歩く習慣を続けることが体力維持や転倒予防にとても効果的であることがわかっています。
ただし、歩く量だけでなく、「自分の体の状態に合った歩き方」「痛みが出ない範囲での無理のない運動」が何より大切です。
それぞれのペースに合わせた散歩を続けることで、筋力や心肺機能の向上はもちろん、心の健康にも良い影響があります。
毎日の積み重ねが、健康で自立した生活の土台となります。
まずは、自分のペースで歩数を意識してみましょう。
少しずつ目標を高めながら、楽しみながら続けることが、何よりのポイントです。
ぜひ、今日から散歩を生活の一部に取り入れて、健康で元気な毎日を目指してください。
【参考文献】
[1]Aranyavalai T, Jalayondeja C, Jalayondeja W, Pichaiyongwongdee S, Kaewkungwal J, Laskin JJ.
Association between walking 5000 step/day and fall incidence over six months in urban community-dwelling older people.
BMC Geriatr. 2020 Jun 5;20(1):194. doi: 10.1186/s12877-020-01582-z.
PMID: 32503501; PMCID: PMC7275504.
[2]健康日本21(第三次)における身体活動・運動の目標
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-001
